土偶とは、土でできた人間や様々な形をした焼き物です。
よく「埴輪」と間違える人がいますが、作られた時代や用途が違うため、同じ土の焼き物ではありますが、全く異なるものです。
土偶は、1万年以上前から制作が始まり、2000年前に姿を消しました。
そして、現在2万点近い土偶が発掘されています。
土偶は作られた時代や地域によって、形や大きさはさまざまです。
また、文字が使われていない時代であるため、土偶に関する詳しい情報が残っていません。
そのため、土偶は謎に包まれていて、絶対的な説というのは存在しません。
どの諸説も事実と裏付ける根拠に欠け、かつ、大いなる可能性を秘めているものになります。
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土偶の種類
土偶の種類では有名なものが3つあります。
- 女性をかたどった土偶
- ハート形土偶
- 遮光器土偶
- 女性をかたどった土偶では、妊娠した女性が表現されています。
乳房や腹部のふくらみが特徴になります。「縄文のヴィーナス」とも呼ばれます。
ハート型土偶は、関東地方で多く出土されました。
顔の形がハートであることから、仮面説があります。
遮光器土偶は、目が特徴的な土偶で、東北地方北部で多く出土されました。
この遮光器土偶は、目があまりにも大きいことから、宇宙人説を唱える人もいました(たぶんこの説はないと思いますが…)。
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土偶が作られた目的とは?その理由を解説!
土偶が作られた目的には、諸説ありますが、教員免許を持つ私が考える有力な説は2つあります。
1つ目は、「女性崇拝説」です。
女性は子どもを産むことができるため、神秘的な力があると考えられていて、その女性の力を崇拝するためという考えです。
妊娠した女性を表現していることから、この説は有力です。
時代によっては、女性が虐げられる男尊女卑のようなこともありましたが、縄文時代では、女性の秘めたる力に敬意を表していたことが女性をかたどった土偶から読み取ることができます。
そのため、女性をかたどる土偶が多いことになります。
しかし、女性をかたどったとは思えない土偶も存在するため、この説が全てに当てはまるわけではありません。
2つ目の有力な説が、「植物の精霊説」です。
縄文時代の人々にとって、植物は生きていくうえで、必要不可欠な存在でした(もちろん現在でも必要不可欠な存在です)。
狩猟採集が中心の縄文人は、現在のように科学技術が発展していない中で、自然の植物のできが自分自身の生死を分けるため、当時を生きた人々が祈ることは容易に想像できます。
お祈りなどの呪術が科学技術より優先する時代や社会においては、重要なのは儀礼を通して、自分たちが資源利用する植物の精霊とコミュニケーションをとることでした。
それを形に表したのが、土偶と言えるわけです。
この有力な2つの説から、土偶は信仰や崇拝(アニミズム)を表す道具であったと考えることができます。
現在でいうところの宗教に近い感覚であると思います。
つまり、土偶は縄文時代の精神性を表し、神話表現をしていることになります。
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土偶は崇拝の対象であった?
どの時代も何かを崇拝するということはあります。
宗教によっては、信仰を表すための偶像を作ったり、儀礼を行うための建物を作ったり、ということをします。
どの時代も先の未来のことが分かるわけではないので、心の支えが必要になります。
それが形になっているのが、宗教であったり、先祖崇拝であったり、アニミズムであったりします。
ですから、縄文時代の土偶もこれと同じことが言えます。
縄文時代の人々にとって、重要だったことは子孫を残すことや食料を確保すること、生活拠点を確保することが挙げられます。
そのため、土偶は子孫を残せる女性に対して、無事に出産できるように祈りをこめて作られたものと考えられます。
さらに女性だけではなく、植物に対しても、自然の豊かな恵みや成長を祈る気持ちと感謝をする気持ちが込められていたと考えることもできます。
つまり、何に使われたかは、現在でいう宗教儀礼となるわけです。
土偶は宗教でいう偶像の役割を果たしていたということになります。
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最大の謎、まとめ
最大の謎が残っています。それは、出土しているほとんどの土偶が壊されているということです。
出土する際に、壊れたわけではなく、発掘した時には、すでに壊されているのです。
意図的に壊されて、埋められていることになります。
壊れずに、完全体のままの出土は5%にも満たないと言います。
大切な物なら大事に保管すると考えられますが、ほとんどが壊れているということで、考えられる説としては「役割を果たした土偶が壊された」ということです。
無事に女性が出産することができたら、その祈りを込めた土偶の一部を壊して、埋めたと考えられます。
2万点の発掘というのは、数字だけ見ると多いように思いますが、1万年近く続いた時代で考えると、大変少ないように思います。
1年間で考えれば、日本全土で2~4個くらいのペースだったことになります。
そうなると、縄文人全員が土偶に触れていたか、作っていたかというと、そうではないことになります。
もちろん現在における宗教も同じです。各個人により、信じる宗教や心の支えは異なります。
このことから、一部の縄文人のコミュニティが宗教儀礼として、土偶を作り、目的が達成されたら、一部を破壊して、埋めて、さらに新しい土偶を作ったということも考えられます。
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